「一番は、本当にホッとしています。いつもファンの人に声援で背中を押されて、本当に心が折れそうな時でもマウンドに行く気持ちを常に持たせてもらって、本当に感謝しています」
2016年7月23日、黒田博樹が日米通算200勝を達成。真っ赤に染まったマツダスタジアム、多くのファン、チームメートの前で、41歳の右腕が最初に口にしたのは、安堵の言葉、そして感謝の意だった。
「まさかこういう日を迎えられると思っていなかったので、本当にうれしく思っています。自分自身でもあんまり実感がわかないというか、本当にそこまで勝ったのかなという気持ちですし、日本に限らず、アメリカのチームメートとか、数多くのサポートがあってここまで来られたと思っています」
1975年2月10日生まれ。元南海ホークスの外野手である父・一博、砲丸投げの選手として64年の東京五輪の代表候補にもなった母・靖子から授かった丈夫な身体を武器に、小学2年から野球を始めるとすぐに頭角を現した。しかし、上宮高校では挫折を味わう。厳しい練習とハイレベルな競争の中で結果を残せず、控え投手のまま卒業。黒田が将来プロ野球選手に、ましてやメジャーリーガーになるとは当時、誰も思っていなかった。