そんな松山が、今年の舞台でキーポイントとしているのが通称「ポステージスタンプ(郵便切手)」と言われている8番123ヤードのパー3。プロトーナメント、しかもメジャー競技のショートホールとしてはかなり距離が短いが、この打ち下ろしの名物ホールの特徴は、ティーグラウンドから「郵便切手」のように小さく見えるグリーンで、風をしっかり読みスコアメイクすることが求められる。
ショットメーカーの松山はこの難ホールについて「風により6番からPWまで色々なクラブを使う」と警戒。コースのコンディションを見極める冷静な判断力が、勝負を分けることになりそうだ。
となると、ショットというフィジカル的な要素だけでなく、大切になるのはメンタル面。そういう点で、今の松山はこのメジャーだけに集中できる環境になったと言える。
松山は3日にジカ熱感染への懸念などを理由に、リオ五輪の日本代表入り辞退を発表。予てから自らがオリンピックでプレーすることが、日本のゴルフ界の発展に寄与できるとしてきただけに苦渋の決断となったが、裏を返せばこれで「今まで通り、メジャーと残りのツアーで頑張るだけ」になった。
果たして迷いがなくなった松山は、メジャーの舞台でどんなプレーを見せてくれるのか。五輪で日の丸をつけない分、今週はメジャーでの「金メダル」を期待したい。
(文・田村一人)