今年に入って、ソフトバンクや楽天など、大手IT企業の参入が相次ぐドローン業界。一時、首相官邸への落下や長野の善光寺墜落事故でネガティブなイメージがつきまとっていた。しかし、最近ではメディアでビジネス的な側面から好意的に報じられることが増えて、一般・商業利用のすそ野が徐々に広がりつつある。
こうしたなか、今、ドローンに携わる個人や企業の間でなぜか西東京エリアが熱い視線を浴びている。このエリアには、首都圏でドローンビジネスに携わる人やユーザーが集まっているからだ。同エリアに拠点を構え、ドローン測量や空撮をサービスとして提供するKELEKの十田一秀代表は言う。
「立川や八王子など西東京エリアは、都心から距離がそれほど離れておらず、アクセス的に便利。しかも、そこから少し足をのばせば、人口集中地区の指定から除外されている区域が点在しています。そのような場所では、土地所有者の許可だけ取ればドローンを飛ばすことができるため、企業が主導して講習会や体験会を開くことが増えています」
一般ユーザーや企業がドローンを飛ばそうとすると、大きな壁が立ちはだかる。2015年12月に施行された改正航空法や、国土交通省のガイドラインによれば、空港等周辺や地表・水面から150m以上の空域、人口集中地区などでドローンを飛ばす場合、事前に関係省庁に許可を得る必要があるのだ。言い換えれば、東京都心で簡単にドローンを飛ばせる場所はほとんどないのだ。
今年6月、仙台市と協力して国内最大規模のドローンレース大会を成功させた日本ドローンレース協会(JDRA)の代表理事・小寺悠氏も次のように話す。
「実は西東京エリアにはドローンを取り扱う企業が多くあります。都内からのアクセスもよく、少し離れると人口集中地区から抜ける地域が多い。また、JDRA技術顧問が主催する多摩電動飛行機研究会もあり、多くのパイロットが集まっています。また神奈川の方でも、一般の方がドローンを飛ばせる施設が増えているのですが、西東京からだとアクセスが便利。JDRAの拠点も西東京に移し、初心者向けに機体製作講習会、ドローン体験会を開催していく予定です」