4大会連続で五輪出場を決めた女子に続き、5月28日からは男子の五輪最終予選が開幕する。
表彰台をかけた戦いを繰り広げて来た女子と比べ、ロンドン五輪や世界選手権出場を逃すなど、男子は低迷と迷走が続き、選手、関係者は苦難の日々を歩み続けて来た。ようやく光明が差し始めたのは、14年に南部正司監督が就任してからだ。メンバーに大きな変動はないまま、固定されつつあった選手選考を一から見直し、大学生などそれまで国際大会の経験が少ない選手も積極的に招聘し、強化合宿は国内のみに限らず、フランスやアメリカなど海外遠征も敢行。練習試合や親善試合で世界の強豪と対峙する機会が増える中、高さやパワー、それまでは尻込みしていた相手の「個」の力に対する固定観念も消え、14年のアジア大会では銀メダルを獲得した。
さらに石川祐希や柳田将洋といった若手選手を主軸に据えた昨年のワールドカップでは20年ぶりに5勝を挙げ、12チーム中6位。強豪国には敗れたが、アメリカやロシアなど、これまではまるで歯が立たなかった相手に対しても、セットを奪い、フルセットまで持ち込むなど大きな前進を見せた。
成績以上に大きな成果は「日本の男子バレーも何かやってくれるのではないか」と感じさせる、見る者をワクワクとさせるような期待感が芽生えたことだ。
その原動力、源として大きいのは長年の課題であった「サーブで攻める」ことを体現する石川、柳田の存在。たとえ劣勢でも、サーブで攻めなければチャンスを手にすることはできない。バレーボールの会場ではサーブミスのたびにため息が起こるが、サーブミス=悪ではなく、チャンスを広げるための突破口であり、たとえ結果的にはミスになったとしても、チームに与える活力は大きく、ワールドカップでは石川、柳田のサーブを起点に何度も流れを引き寄せた。