役員報酬が会社の業績に見合った妥当な金額なのか。それをチェックするための開示制度が3年目を迎え、今回も上場企業で年1億円以上の役員報酬を公開された。5月に亡くなったカシオ計算機の名誉会長を務めた樫尾俊雄氏の13億円を筆頭に、有名企業社長が名を連ねているが、そこには日本が世界に誇る有名経営者がランクインしていない。今年3月、米経済誌「フォーブス」が発表した今年の「日本の富豪40人」のなかでトップ5にランクインした経営者は、いずれも今回の上位100人には入っていない。

 有価証券報告書でこれらの経営者を調べると、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長やソフトバンクの孫正義社長は1億円台だった。楽天の三木谷浩史会長兼社長は、1億円未満で開示されていない。サントリーホールディングスの佐治信忠社長は、同社が上場していないため開示義務はなく、非公表だ。

「富家」の割には、意外と「薄給」なのか?

 実は、これにはちょっとした"ウラ"がある。

「彼らは創業者や、創業家の一員です。会社の大株主でもあるため、高額な配当金が支払われている。孫氏の配当金を計算すると、90億円近くになりますよ」(証券系エコノミスト)

※週刊朝日 2012年7月27日号

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