富山湾のブリが不漁である――富山県氷見市の氷見漁協は2月4日、高級ブランド魚「ひみ寒ぶり」の今年の「出荷開始宣言」を出さないと決めた。「冬の味覚の王者」である寒ブリ、「今季はブランドにふさわしい大きさ、数量ではない」という地元関係者の厳しい判断である。
不漁の原因に触れる前に、まず「ひみ寒ぶり」はどんな魚なのか、説明しよう。その定義は、冬季に富山湾の定置網で漁獲され、氷見魚市場で競りに掛けられた重さ6キロ以上のブリのこと。さらに、保存方法にもこだわりがある。それは「沖じめ」と呼ばれる技術で、捕った後すぐに船底にある氷水が入った「いけす」で仮死状態にして漁港へ運ぶ。このため、身が締まってうまみが凝縮されるという。ほかの地域で水揚げしたブリと比べて「ひみ寒ぶり」は3~5割も高値で取引されている。
脂がのった寒ブリの水揚げは、師走から本格化して、節分のごろまでが旬となる。商標登録した2011~12年シーズン以降の「ひみ寒ぶり」の水揚げ高をみると、今シーズンの低調さが際立っている。