2015年2月に富山湾で確認されたダイオウイカ(写真提供:魚津水族館)
2015年2月に富山湾で確認されたダイオウイカ(写真提供:魚津水族館)
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2014年4月、定置網にかかり引き揚げられたダイオウイカ(写真提供:魚津水族館)
2014年4月、定置網にかかり引き揚げられたダイオウイカ(写真提供:魚津水族館)
ダイオウイカを至近距離で撮影することに成功した魚津水族館の伊串祐紀さん
ダイオウイカを至近距離で撮影することに成功した魚津水族館の伊串祐紀さん

 昨年の冬に続き、今冬も富山湾で、ダイオウイカの目撃情報が相次いでいる。例年、11月から4月にかけて出没するダイオウイカ。富山県魚津市にある魚津水族館によると、1シーズンで数件だったのが、2014年11月から3月までは16件の情報が寄せられ、今冬も昨年12月24日からすでに4件とハイペースだ。ダイオウイカはなぜ、富山湾に来るようになったのか?

 ダイオウイカ、本来のすみかは南方海域の深海である。13年に世界で初めて深海で泳ぐ様子がNHKスペシャルで放映されて以来、一気に知名度は増した。上半身の部分「外套長」はおよそ1.7メートル。足も合わせると体長3~4メートルで、えさをつかむ長い触腕を含めた大きさは18メートルになるものもいる。

 富山湾に関する展示が充実している魚津水族館に、ダイオウイカについて聞いてみた。この水族館は開館103年目を迎え、地元の漁業関係者などとのネットワークが充実している。変わった魚が「揚がった」「泳いでいた」といった情報は漏らさない。富山湾のダイオウイカについても07年1月に「射水市の新湊漁港で水揚げしたが、すでに死んでいた」というケース以降、個体についての詳細な記録を残している。

 富山湾での発見は07~08年冬が3件で、翌シーズンから5年間はまったく確認されなかった。しかし、13~14年冬は3件、そして昨シーズンに激増した。ホタルイカやブリを獲る定置網や、白エビ漁で使う底引き網などにかかって発見されたり、海岸周辺で目撃されたりしている。

 ダイオウイカの目撃情報が増えた理由としては、「NHKの放映で一般の人の注目が集まり、情報提供の機会が増えたのでは?」との見方もある。魚津水族館の稲村修館長は「確かにそれも一理あるが、関心の高まりを差し引いても、増えているのは事実だろう」とのこと。ダイオウイカの富山湾出没は、すっかり冬の風物詩となりつつある。

 稲村館長はダイオウイカの出没について「環境の変化か?」「生態系が変わったのか?」などといろいろ探ってみたものの、「富山湾に異変はない」との結論である。「むしろ、南方海域の環境や黒潮、対馬海流などの流れが変わったのではないか?」と考えている。しかし、いずれも推測の域を出ないらしい。

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