日本円とのドル以外の他の通貨との直接取引シェアは、すべて合わせても2%ですし、国際通貨を目指している人民元の対ドルでさえ前述の2.1%。それよりはEUR(ユーロ)の対ドル以外の取引シェアの方が9.3%と多いのです。通貨取引の歴史の長さが如実に表れていている感じです。
そして、この統計を見ると、USDが基軸通貨であることがわかります。その背景は、貿易・資本取引においては規制が少なく、決済ルールにおいて国際取引上障害がない通貨で取引される方が好まれるということです。突然、外貨取引規制を敷く当局があれば、決済リスクという物が存在してしまいます。これはビジネス上、避けたい要因です。
新興国においては、通貨単位の変更の可能性があること、中央銀行の信頼度が低いこと、急激なインフレなどさまざまな要因があるため、通貨への信認という点では、米ドル、ユーロ(ドル)の優位性は今でも揺らいでいません。中国が人民元を国際通貨として認知を向上させようとさまざまな施策を打ち出しています。しかし、国内市場へのアクセスがまだ不十分だという課題があるうえに、先日、新たな取引規制を発表しています。CNY(中国人民元)が国際通貨として認められるには相当な努力と時間が必要になりそうです。
海外旅行で、さらに遠隔地に行く機会が以前より増えていると思いますが、「米ドル」の優位はまだまだ続きそうですね。
(FXストラテジスト 宗人)