納骨堂「寂照」内で送骨について紹介する大法寺の栗原住職
納骨堂「寂照」内で送骨について紹介する大法寺の栗原住職
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大法寺は開山562年の歴史を誇る古刹である
大法寺は開山562年の歴史を誇る古刹である
永代供養のための納骨堂「瑞光会館」には仏壇型のロッカーがある
永代供養のための納骨堂「瑞光会館」には仏壇型のロッカーがある

 「送骨」という言葉をご存じだろうか? 宅配便で寺に遺骨を送り、供養や埋葬してもらうシステムである。富山県高岡市にある日蓮宗大法寺が始め、追随する寺や霊園、企業などが増えて、ネット上には「送骨.com」というホームページもある。無縁仏を弔う手段として広まりつつあるが、現実はそう簡単ではない。死後、火葬するための手続きさえ滞るケースもあるらしい。「無縁社会」の深淵をのぞいてみた。

 大法寺の栗原啓允住職は「送骨」を受け入れるようになった経緯をこう話す。

「首都圏の行政担当者や団地の管理者、葬儀社から『檀家さんの縁者』という方の遺骨を引き取ってほしいとの依頼が届くようになりました。『うちが断ったらどうなるのか?』と聞くと、『廃棄する』とのこと。そこで、放っておけなくなったのです」

 2006年に墓を継承する家族がいない檀家のために合祀墓を設け、07年にはNPO法人「道しるべの会」を立ち上げた。遺骨を引き受けるだけではなく、高齢者の施設入所や「終活」を支援するようになったという。

 都市部はもちろん、地方でも血縁者とのつながりは薄くなりつつある。少子化で跡継ぎがいない、子はいるが海外在住である、おいやめいはいるが頼みにくい、墓はあっても夫と同じ墓に入りたくない……などの理由が挙げられる。また、墓があり、子がいても維持管理が難しいため「墓じまい」を希望する人も増えている現状がある。

 送られてきた遺骨はどこで供養されるのか? 栗原住職が墓地の一角にある納骨堂「寂照」へ案内してくれた。届いた遺骨は祭壇にまつられ、読経をして供養される。供養が終わると袋に入れられ、埋葬されていく。また、「寂照」内の壁際には扉付きのロッカーが並んでおり、細かく仕切られたスペースに骨壺を安置できる。

 また、境内には永代供養のための納骨堂として「慧明」と「瑞光会館」という施設もある。「瑞光会館」は遺骨を入れるスペースが大きく、扉に装飾が施され、高級感がある。仏壇型ロッカーとでもいおうか。石で造った墓を「一戸建て」とするなら、納骨堂は故人を集めて供養する「集合住宅」ということになる。いずれも、「娘が嫁に出たので墓守がいない」などの理由から希望する人が多いそうだ。

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