上空から見た御嶽山(9月27日)
<br />出典:国土交通省 中部地方整備局
上空から見た御嶽山(9月27日)
出典:国土交通省 中部地方整備局
この記事の写真をすべて見る

 気象庁は2014年9月27日、長野県と岐阜県の県境にある御嶽山(3067メートル)が噴火したと発表した。

 秋の紅葉シーズンの週末ということもあり、多くの登山者が頂上付近にいたため、火口から飛んできた噴石や火山灰などで、複数の負傷者や意識不明者が出ている模様だ。また、長野県、岐阜県、山梨県には今後、火山灰が降る可能性があるという。

 ところで、噴石や火山灰に対して家庭ではどんな対策をとればいいのか。災害医療や防災、危機管理の専門家の意見をまとめてみた。
 
 火口に近い地域では、噴石に要注意だ。高温の噴石が直撃すれば、燃えやすい衣服に火がつき、火だるまになる危険がある。また、木造家屋に噴石が落ちてくると、火災となる恐れがあるため、頑丈なコンクリート製の建物などに避難したほうがいい。さらに、強い衝撃波が襲ってくる可能性もある。2011年2月には、宮崎、鹿児島県境の新燃岳の火口から約11キロ離れた小学校で、窓ガラスが割れる被害が出ている。自宅の窓ガラスには、飛散を防止するシートを張ることをお奨めしたい。

 火口から遠い地域でも、火山灰が降ってくる。火山灰は健康被害を引き起こすことがある。とくに、気管支ぜんそくなど呼吸器に持病がある方は、注意が必要だ。火山灰には亜硫酸ガスや硫化水素、フッ化水素などの有害物質が付着している。火山灰を吸い込めば、ぜんそくの発作が起きる危険性もある。これを防ぐには、マスクは欠かせない。薬局で販売されている一般的なマスクではなく、建物の解体作業などで使われる高機能マスク(防じんマスク)のほうが効果的だ。ネット通販で入手できるので活用したい。ただ、高機能マスクは、普通のマスクとは装着方法が異なるため、あらかじめ説明書を読んで練習しておきたい。特に、鼻の部分をしっかり覆わないと、火山灰は簡単に入ってきてしまうので注意すべきだろう。

 また、火山灰が目に入ると非常に厄介だ。火山灰には小さなガラス片が含まれているため、目に入ると、角膜を傷つけ、炎症を起こすこともある。降灰がある中で外出する際は、ゴーグルを着用していただきたい。コンタクトレンズを使用している方は、外さないと角膜を傷つけてしまうため、必ず外してほしい。

 このほか、火山灰は皮膚につくと、炎症を起こすことがある。レインコートのような、ツルツルした素材の長袖を着て外出したい。

 東日本大震災以降、日本列島は火山の活動期に入ったという見解もある。いざという時の備えは怠ってはいけない。

【噴火・降灰から身を守る鉄則】

<火口に近い地域>
●噴石が飛んでくるので、防火服を用意せよ
●頑丈な建物に避難せよ
●衝撃波に備えて、自宅の窓ガラスに飛散防止シートを張るべし

<火山灰が降ってくる地域>
●高機能マスクを用意し、装着する練習をすべし
●火山灰が目に入らないように、ゴーグルを用意すべし
●火山灰が角膜を傷つけるので、コンタクトレンズを外すべし
●家の中に火山灰を入れないように、通気口を粘着テープで目張りせよ
●火山灰から皮膚を守る長袖のレインコートを着用すべし
●自動車は火山灰で動けなくなることもあるので注意すべし
●タイヤチェーンを装着しても火山灰の上では滑る。雪と同じように考えてはいけない
●電子機器は火山灰の影響で故障してしまう。食品用ラップなどで守るべし
●交通機関が止まる危険もあるので、火山灰が降る前に避難の準備をすべし