スタジオジブリの最新作「思い出のマーニー」を応援するauが7日、「au loves ジブリ」キャンペーンの記者発表会を開いた。スタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサーらが登場し、作品への思いなどを明かした。
今回の「思い出のマーニー」は「借りぐらしのアリエッティ」などを制作した米林宏昌監督の作品。今作は、米林監督が「アリエッティでやり残したことがある。もう1本、映画を作りたい」と話したことがきっかけになったという。
その時点で米林監督は原作を決めていなかったため、鈴木氏が大好きだったという「思い出のマーニー」を提案した。「アリエッティ」もそうだが、米林監督は少女を描いた作品が得意な監督。そこで「『可愛い女の子がふたりも出てくるんだぞお』と話したことを覚えています(笑)」と、鈴木氏。
鈴木氏が話すように、今作の最大の特徴は、ダブルヒロインだということ。映画のポスターには主役のふたり、ショートカットの少女・杏奈と、金髪の少女・マーニーが、背中合わせに立っている様子が描かれている。実はこのポスターに、映画のテーマが隠されているという。
「ポスターを見ると、背中合わせになった左側に杏奈が、右側にマーニーが描かれています。杏奈はよく見ると少し浮かない表情をしているんですよね。ところがマーニーは明るい表情をしている。このポスターで何を言わんとしているかというと、杏奈の心の支えはマーニーなんだということなんですね。昨今、いろんな映画がありますけど、男女の問題を描いた作品はこれまでも数多くあったと思うんです。なんか今の時代は、異性の前に、同性の中に、ある納得を得る作品の方が、お客さんにとって良いんじゃないかなと思って。そんなことを思って、今回の映画を作ってみたんです」(鈴木氏)
さらにポスターといえば、絵とともに注目されるのがキャッチコピー。「かぐや姫の物語」では鈴木氏の考案した「姫の犯した罪と罰」という名キャッチコピーが注目されたが、今作のコピーも鈴木氏が担当。
「今回はキャッチコピーで悩んだんですよね。女の子ふたりの話ということで、最初は『ふたりだけの禁じられた遊び』。もうひとつ考えたのが『ふたりだけのいけないこと』だったんです」(鈴木氏)
悩んだ末に、今回は「あなたのことが大すき」というストレートなキャッチコピーに落ち着いたそうだ。
また今回、ダブルヒロインの原作を選んだのにはこんな「計算」もあったと鈴木氏は明かす。
「去年、宮崎駿監督は引退したんですが、実は毎日出社しているんです。宮さん(宮崎監督)は『口を出さない』と言いながら、作品にはすぐに口出しするんです。でも宮さんが口を出すのは、いつも男女の物語について。なので女の子ふたりの話なら、宮さんも手の出しようがないだろうと。それは僕の計算でした(笑)」(鈴木氏)
作品は7月19日(土)から全国で公開される。
(文・横田泉)