高校の勢いが表れるとされる東京大学と京都大学の入試合格者数。全国ランキングには表れないものの、地元で奮闘する名門校もある。名門私立や伝統の公立校がひしめく近畿から九州まで、地域別にランキングして分析した。(データは2019年)
【近畿】
東大でランクインしたのは、灘(兵庫)、西大和学園(奈良)、甲陽学院(兵庫)など、すべて私立の中高一貫校。その中でも近年の躍進校といえば西大和学園だ。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長が解説する。
「情報提供や模試など、東大志願者を増やすための施策に学校をあげて取り組んでいます。灘、東大寺学園(奈良)、大阪星光学院(大阪)といった伝統校は進路指導も生徒の自主性重視なので、対照的ですね」
京大では北野、天王寺(大阪)といった公立のトップ校と、東大寺学園、大阪星光など、私立中高一貫校がバランス良く入った。
「関西では進学実績の高い中高一貫女子校がなく、成績優秀な女子は、県立・府立校から京大を目指す傾向にある。首都圏に比べ公立校の合格者が多いのには、このような背景もあります」(石原さん)
【中国・四国】
広島大附(広島)、岡山朝日(岡山)などの国公立校と、広島学院、修道(ともに広島)などの私立校が拮抗する結果となった。
「広島は首都圏・関西圏並みに、中学受験熱が盛んな地区。公立校に力を取り戻そうと、県側が設立した広島(県立)などが健闘しています」(同)
東大合格者では8位だが、京大合格者で首位の座を射止めたのが、県立高松(香川)。
「高松高校は京大志向が強い。特に、瀬戸大橋が竣工してから関西圏にアクセスしやすくなり、保護者からの人気が上がっています」(同)
【九州】
東大合格者は、公立が7校、私立が3校と、公立校優勢の結果に。一方、京大では、修猷館、筑紫丘、明善と、福岡県内の公立校が上位を独占している。
「福岡からだと、京都行きの新幹線が数十分に1本のペースで走っています。アクセスの良さから、東大より京大を志願する傾向にあります」(同)