「桜を見る会」前夜祭について、立憲・福山哲郎幹事長が、ある明細書を示しながら質問すると、安倍晋三首相はいつにも増して動揺した。苦しい答弁に対しては、自民党関係者からも疑問の声が上がっている。AERA 2020年3月23日号の記事を紹介する。
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「出さない」のではなく「出せない」のではないか──。
桜を見る会の前日にホテルニューオータニで行われた「前夜祭」の領収書、明細書のことである。
コロナウイルス感染の話題で一色だった3月4日の参議院予算委員会。立憲民主党、福山哲郎幹事長の質問に対し、答弁に立った安倍晋三首相がかつてないほどの動揺を見せる一幕があった。連立を組む公明党のある議員は、振り返る。
「桜関連の問題になると、釈明に追われる場面がしばしばだが、あの慌てようはよほど痛いところを突かれたのだろう」
一体、どんな質問だったのか。
その前に、過去の桜を見る会前夜祭に関する安倍首相の答弁を整理しておく。
「夕食会の主催者は安倍晋三後援会であり、同夕食会の各種段取りについては、私の事務所の職員が会場であるホテル側と相談を行っております。(中略)その過程において、ホテル側から明細書等の発行はなかったとのことであります」(2019年11月20日参議院本会議)
「(夕食会の価格設定については)会場費も含め800人規模、1人あたり5千円とすることでホテル側が設定したものであり、ホテル側において当該価格設定どおりのサービスが提供されたものと承知しております」(20年1月22日衆議院本会議)
この前夜祭の疑惑の核心は「本当に会費は5千円なのか」だ。領収書も明細書も明らかにされていないので確認のしようもないが、仮に1人あたりの額が5千円を上回る場合、その差額を後援会が補填していれば公職選挙法違反。ホテル側が相場を下回る額で提供していれば企業からの寄付にあたるので政治資金規正法違反に問われる。