――話題となっている「モノローグ」はドラマ主題歌のために書き下ろしたそうですね。難しさはありましたか?
正直にいうと、かなりとまどいましたね。ドラマの制作サイドからも細かいオーダーみたいなものがいくつかありましたし、誰かにオファーされて作曲すること自体も初めてでしたから。でも指示されたポイントさえちゃんとおさえていけば、意外と簡単にできるだろうと考えてはいたんですけど、最初出来上がった曲が全然好きになれなかった。決定的な何かが足りなかったというか……もう絶望しましたね。
歌詞に関しても、一人の感性では絶対ダメだと思ったので、とにかく周りからヒントを得ようと、一緒に作業しているチームに「ここはどうなんでしょうか?」とか「パッと聞いてどう思います?」みたいなすり合わせを嘘だろっていうぐらいとにかく繰り返して、少しずつ正解に近づけていった感じです。
人から頼まれた曲って絶対答えがあると思うんです。その人がビビッとくるものが必ず。普段の曲作りには答えってないので、究極的に自由というか、曲が良い悪いもない。だから、「モノローグ」に関しては、そういう言い訳が一切できなかったので、だいぶ苦しみました。でも結果的に良い作品になったと思います。
――「モノローグ」は日本語訳で「独白」。曲にはどんなメッセージが込められていますか?
主題歌って、テレビの映像とともに流れるっていうイメージがすごい強くて……そんな状況だと、歌そのものが独立して、ストレートに言葉を伝えることって不可能なんじゃないかなと思いました。だから、言葉で分かってくれっていうんじゃなく、態度で共感してくれっていう歌詞にあえてしています。
内容に関しては「ああすればよかった」「こうすればよかった」っていうことの連続。普通、歌詞って、曲の最後あたりである程度の落とし所みたいなものつけるんです。例えば、「色々あった……でも、がんばろう」みたいな。今、日本で支持されている曲って、そういう歌詞の流れみたいなものがあるんですけど、「モノローグ」はひたすらずっと悩んでいる。わかりやすくいうと、めちゃくちゃ後悔してるんです。でも、それでいいんですよ。心の中で後悔することって腐るほどあるし、それをただ単純に「頭に思い浮かべるだけ」なのと、「自分自身に問いかけること」って全然別物。結局、「独白=モノローグ」も自分との対話になってるんだよっていうこと。それをするかしないかが重要なんです。それを乗り越えた時に、また新たなステップが見えてくるんだよっていうのが伝わったらいいなって思っています。