AERA 2020年3月30日号より
AERA 2020年3月30日号より
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「疲れに効く」と言うけど本当?【1】(AERA 2020年3月30日号より)※「東京疲労・睡眠クリニック」梶本修身院長監修
「疲れに効く」と言うけど本当?【1】(AERA 2020年3月30日号より)※「東京疲労・睡眠クリニック」梶本修身院長監修
「疲れに効く」と言うけど本当?【2】(AERA 2020年3月30日号より※「東京疲労・睡眠クリニック」梶本修身院長監修
「疲れに効く」と言うけど本当?【2】(AERA 2020年3月30日号より※「東京疲労・睡眠クリニック」梶本修身院長監修

 疲労の回復のカギを握るのが、食事だ。最近の研究で、疲れの原因にピンポイントで作用する成分を含む食品がわかってきた。おすすめは鶏むね肉。AERA2020年3月30日号は、「疲れに効く食事」を特集。鶏むね肉の優れた疲労回復の効果を紹介する。

【「疲れに効く」食品と「効かない」食品はこちら】

*  *  *

 何を食べれば疲れにくくなるのか。多くの人がまず思い浮かべるのは「スタミナ料理」の焼き肉だろう。都内の会社員の男性(42)は言う。

「疲れた時は、焼き肉をガッツリいきます。食べた後は、よしやってやるぞ!という気持ちになります」

 IT企業で営業をしている会社員の男性(30)のイチオシは栄養ドリンクだ。いわく、

「すっきりして目がさえます」

 疲れがたまっているので、平日は1日に1本は飲むという。

しかし「東京疲労・睡眠クリニック」の梶本修身(おさみ)院長(57)は、焼き肉も、医薬品や医薬部外品に位置づけられる栄養ドリンクも、疲労回復の効果は期待できないと言う。

「焼き肉などスタミナ料理を食べれば疲れが取れると思いがちですが、脂っこい肉を消化するのに内臓に負担がかかるため、余計に疲れてしまいます。栄養ドリンクは、眠気を覚ます効果はありますが、疲労そのものはなくなりません」

 では、疲れに効く食べ物は何か。すでに述べたように疲れの原因は活性酸素による酸化ストレスだ。酸化に抗う「抗酸化作用」があり、狙い撃ちできる食品がある。なかでも、梶本院長が最も効果が高いと薦めるのは「鶏むね肉」だ。

 牛肉や豚肉でなく、鶏肉のなかでもなぜ、もも肉と比べてパサパサした食感のむね肉なのか。

「カギを握るのが、イミダペプチドと呼ばれるたんぱく質の一種です。抗酸化作用があり、脳の自律神経中枢に働きかけ、細胞がさびるのを防ぎます」(梶本院長)

 イミダペプチド──。聞き慣れない言葉だが、抗疲労メカニズムの研究過程で注目されるようになったという。ほとんど休まずに長い距離を飛び続ける渡り鳥の羽の付け根を調べると、イミダペプチドが豊富に含まれていた。これが、疲労の原因である酸化ストレスを緩和していたのだ。スーパーに売られている鶏むね肉にも、100グラムあたり、200ミリグラムのイミダペプチドが含まれている。

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