ブラッスリー・ヴィロン渋谷店 カスレ/伝統的なフランス料理をモーニングからディナータイムまで楽しませる店。1階は、フランスの製粉メーカー、ヴィロン社の小麦粉を使った同社経営のベーカリー「ヴィロン」が入る。「カスレ」(4500円)は、白インゲン豆や豚肩ロース、骨付き鴨肉、自家製ソーセージを、手間を惜しまず別々のだしで煮込み、最後に土鍋で合わせてオーブンで火を入れる。素材の凝縮したうまみが一体となり、思わず赤ワインが進む味だ。春はフランス産乳飲み仔羊のロティもおすすめ。税別 (撮影/倉田貴志)
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ブラッスリー・ヴィロン渋谷店/東京都渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル2F(営)モーニング9:00~11:00L.O. ランチ11:30~14:00L.O. カフェ14:00~16:30L.O. ディナー18:30~22:00L.O.(休)なし (撮影/倉田貴志)
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 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、料理研究家の浜内千波さんの「ブラッスリー・ヴィロン渋谷店」の「カスレ」だ。

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 料理研究家として独立したての頃は、毎年のようにフランスに出かけては食べ歩きをしていました。パリの星付きレストランのよさもありますが、地方に伝わる昔ながらの家庭料理の味がとくに印象的でした。

 なかでも衝撃を受けたのが、白インゲン豆がたっぷり入った南西部のお料理「カスレ」。だから渋谷の「ヴィロン」でこの料理を見つけたときは嬉しかったですね。しかも本場と同じように大きな土鍋であつあつで提供されます。じっくり煮込んでやわらかくなった豚肉や骨付き鴨が白インゲン豆と一緒に入っていて、食べると「あぁ、こんな味だったなあ」って、懐かしく思い出させてくれる。

 しかもこちらは1階においしいパン屋さんが併設されていて、料理だけでなくバゲットにも本場のおいしさを感じます。お店のしつらえもフランスっぽい雰囲気で、サービスも気取りがなくて親しみやすい。古きよき伝統料理のおいしさをとことん追い求める姿に、思わず応援したくなります。

(取材・文/沖村かなみ)

「ブラッスリー・ヴィロン渋谷店」東京都渋谷区宇田川町33‐8塚田ビル2F/営業時間:モーニング9:00~11:00L.O.ランチ11:30~14:00L.O.カフェ14:00~16:30L.O.ディナー18:30~22:00L.O./定休日:なし

週刊朝日  2020年4月3日号

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