![歩行者天国が中止となり人通りも少ない東京・秋葉原。映画館や劇場、ライブハウスからも客足は遠のく=3月29日、撮影・多田敏男](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/840mw/img_5840c4abd2eccc7d55ca527a097c771e156889.jpg)
![5月1日に公開予定の映画「ミセス・ノイズィ」](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/2/0/725mw/img_20bac80997ef9611aa1666d5c4672014129961.jpg)
![「ミセス・ノイズィ」の一場面。主人公の小説家を篠原ゆき子が演じる](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/3/b/840mw/img_3b13f7e1acab2344033db5696cf5afa762138.jpg)
![エンタメの変革を訴える映画制作者、松枝佳紀さん=撮影・多田敏男](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/840mw/img_abcd944cd61e649c36521501162a8574125393.jpg)
コロナショックはどこまで広がるのか。都市の全面的な封鎖(ロックダウン)が現実になりそうで、街は自粛ムード。映画館や劇場の営業休止も相次ぐ。このままでは、映画や演劇などの制作現場が大きな打撃を受けてしまう。日本銀行に勤務したこともある異色の映画制作者、松枝佳紀さん(まつがえよしのり、50)は、「いまこそエンターテインメントのシステム変革が必要です」と訴える。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況について、東京都の小池百合子知事は3月30日夜、「感染経路が不明な人が増えていて、まさに感染爆発の重大局面です」と発言。不要不急の外出自粛や、カラオケ店やライブハウス、バーなどの利用を当面避けるよう訴えた。
映画館からは客足が遠のき、上映が延期される作品も多い。映画関係者にとって作品はどれも手塩にかけたもの。一人でも多くの人に見てもらいたいが、現状では劇場公開すること自体が難しくなっている。
松枝さんは、今年5月1日に公開予定の映画「ミセス・ノイズィ」の企画プロデューサーで、脚本にも関わった。俳優を育てるワークショップ「アクターズ・ヴィジョン」の代表者としても長年活動。今回の映画でも、たくさんの個性的な新人俳優をデビューさせている。
「主演の篠原ゆき子さんら数人以外は、無名の新人たちで作り上げた映画です。昨年10月の東京国際映画祭で予想外に評価され、奇跡のように全国の映画館で公開される運びとなりました。しかし、ロックダウンの可能性が高まるなど今後の展開を考えると、ほんとうに劇場公開できるのか、できたとしても観客が来てくれるのか不安です」
国や自治体は大規模イベントの自粛などを求める一方で、映画館の営業禁止までは踏み込んでいない。松枝さんは感染の危険があるのなら、映画館や劇場の閉鎖も仕方がないと認める。
「本当に危険があるのなら個々の判断に任せる自粛では意味がない。国や自治体が閉鎖や外出禁止を指示すべきです。明確な基準や科学的な根拠を示して、みんなを納得させて欲しい。映画や演劇よりも人の命が大事なのは当たり前です。専門家の提言を受けて早めに非常事態宣言を出すべきでしょう」