今年2月以降、初心者のネット証券口座開設数が急増している。ネット証券大手のSBI証券、楽天証券ではいずれも10万口座以上の伸び。新型コロナウイルスによる相場暴落で「今なら安い」と感じた人が投資を始めようとしている。
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初心者でも無理なく増やせる金融商品といえば「投資信託」だが、どれくらいの人が投資信託を買っているのだろうか。
アエラ増刊『AERA Money 今さら聞けない貯金の基本』(3月25日発売)がインターネットを通じて511人に聞いたアンケートでは、投資信託を保有中の人は全体の44%。4割の人は買ったことがなく、1割の人は過去に購入歴はあるが、売却していた。
投資信託の積み立てをしている人に月々の積立額を聞くと、5万円以上が14%で最多。次に1万~1万4000円台の人が多くて9%だった。
損益について聞いてみると、買ったときより10~29%儲かっている人が7割、それ以上儲かている人が合計で約1割。出したお金よりも損している人が17%だった。およそ8対2の割合で、儲かっている人のほうが損している人より多い。
投資信託を保有している人は全体の4割程度だが、保有している人は儲かっている人のほうが圧倒的に多く、月々5万円以上の積み立てをしている人が最多だ。
ここで、貯金だけでは老後が心もとない……という人のために、投資信託という金融商品の性質や、長期で積み立てる意味について、三菱UFJ国際投信デジタル・マーケティング部の酒井香織さんに教えてもらうことにした。
■卵は一つのカゴに盛るな
「『すべての卵を一つのカゴに盛るな』という言葉を聞いたことはないでしょうか。
全財産を一つの金融商品に投資してしまうと、その金融商品の価格が大きく値下がりしたときに深いダメージを負ってしまいます。
そうしたリスクを回避するために生まれた投資法が、さまざまな金融商品に資産を少しずつ分ける『分散投資』なのです」(酒井さん/以下同)
投資信託の商品特性はまさにこの分散投資を具体化したもの。少額資金を投資家から広く集め、さまざまな金融商品に幅広く投資することで、一つのカゴがひっくり返っても資産全体が大きなダメージを負わないように分散してくれているのだ。