一方、日本と同じように接種しているポルトガルの死者数は17.6人と高めで、いまは接種をしていないドイツでは11.3人と少なめといった例外もある。だが、免疫の仕組みを踏まえても「BCGは期待できるかもしれない」と宮坂医師。
「昨年、オランダの研究チームが、BCGワクチンが自然免疫を高めることを突き止めたのです。途上国でも、BCGワクチンを打った子どもは感染症の死亡率や重症化率が下がることが報告されています」
免疫には、生まれたときから持つ「自然免疫」と、生後に病原菌にさらされて得られる「獲得免疫」がある。自然免疫は体に入ってきた病原体すべてに反応し、排除しようとする。つまり、未知なるウイルスの新型コロナにも免疫が働きやすいのだ。BCGワクチンは結核菌に対する獲得免疫だけでなく、自然免疫も高める可能性があるという。
豪州ではすでに、医療従事者を対象にBCGワクチンの有効性をみる治験が始まった。
「BCGは昔から使われているワクチンで、安全であることは確か。あとは、どれくらいの量を打てばいいのか、どんな人に効果があるのかなどの検証が必要です。また、BCGは子どもの予防接種のために限定生産されており、短期的には大量生産できません。そのあたりも考慮すべきことでしょう」(宮坂医師)
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2020年4月17日号