室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
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イラスト/小田原ドラゴン
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 森友問題の文書改ざんが原因で自殺した財務省職員の妻が再調査を求めている問題。作家・室井佑月氏は、妻の訴えに強く賛同するという。

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「私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!」

 と赤木さんの奥さんとその代理人の弁護士が、賛同人を募っている。3月31日時点で、25万人以上が賛同した。

 もちろんあたしも賛同した。お亡くなりになった旦那さんは戻ってこないけど、真実を知りたいという奥さんの最低限の望みは叶(かな)えられるべきだ。

 そしてそれは、我々がいま一度この国のあり方を、立ち止まって考えることにもなる。今のおかしさについても。とても大事なことである。

 さて、4月2日号の週刊文春もじっくりと読んだ。前号に続き、大阪日日新聞の相澤冬樹さんが「森友財務省担当上司の『告白』『8億円値引きに問題がある』」という記事を書かれていた。

 記事を読むとわかるが、赤木さんの上司であった池田靖さんという方も、相当悩まれている様子。

 池田さんは、「改ざんを主導したメンバーと抵抗したメンバーとどっちに僕が入るかといったら、間違いなく主導した方に入ります」と奥さんに語ったそうだ。改ざんについて、「手放しでは受け入れてないです」「かなり追い詰められているところもあって」と。

 このままじゃ第2、第3の赤木さんが現れてしまいそう。おなじような事案が出てこないとも限らない。人の命に関わることだし、国の秩序の死でもある。

 なのに、安倍首相と麻生財務相は、新たな事実が出てきたわけじゃない、事実関係はもう明らかになっているので再調査しない、との旨を国会で述べた。

 いいや、赤木さんの手記から「すべて、佐川(宣寿・元)理財局長の指示です」「学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示」という記述が出てきたのだ。佐川氏だけの判断、と考える人なんている?

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