「新型コロナウイルスに対抗する最善策は、たばこ業界が直ちにたばこの生産とマーケティング、販売を停止することだ」
【写真】志村さんも治療に使っていたという人工肺「ECMO」がこちら
4月6日、医療関係者などで構成される「国際結核肺疾患連合」は世界に向けて、こう呼びかけた。海外で行われている研究では、喫煙者が新型コロナウイルスに感染すると、非喫煙者よりも重症化したり、死亡するリスクが高いことが指摘されている。
たばこによる健康リスクに詳しい大阪国際がんセンターの田淵貴大医師はこう話す。
「喫煙者は肺が弱っているので、肺炎になりやすいことは以前からわかっていました。アメリカの医学雑誌『The New England Journal of Medicine』が2月に発表した論文の結果を集計すると、非喫煙者に比べ、喫煙者あるいは過去に吸っていた人は、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが約1.7倍でした。人工呼吸器をつけなければならないほどの重篤化や死亡リスクでは約2.9倍になります。ただし、これは年齢や持病の有無などを考慮した分析ではないため慎重な解釈が必要ですが、喫煙がリスクになることは間違いありません」
3月29日には、新型コロナウイルスに感染したタレントの志村けんさん(70)が亡くなった。志村さんはかつてヘビースモーカーだったことで知られている。
「同じコロナウイルスであるSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)が流行したときも、喫煙者は重症化しやすいことが指摘されています。今からでも禁煙してほしい。もちろん禁煙しても壊れてしまった肺が元に戻るわけではありませんが、残った肺の機能は回復してきます。しかも、免疫機能を下げる原因の一つであるニコチンは禁煙後3日ほどで体から抜けるので、禁煙1週間ほどで免疫機能は回復します。感染リスクや重症化リスクは何歳から禁煙しても下げることができるのです」(田淵医師)
“禁煙”の声は少しずつ広がりをみせる。これに危機感を募らせるのが愛煙家たちだ。一日に約20本のたばこを吸うという神奈川県の会社員男性(40)は、ツイッター上で「#禁煙」がトレンド入りしたことをみて、慌ててたばこ10箱分を買いだめしたという。