また検査時間も、PCR検査は通常6時間程度を要すると言われているが、このソフトを用いた画像診断は、画像のアップロードからリポート出力までが5分程度で終わる。

 今年3月4日には、同社および同社のアジア太平洋支社であるInfervision.Japanが、日本で遠隔画像診断支援サービスを提供する株式会社ドクターネットとの共同プロジェクトを締結。ドクターネットがもつ日本の放射線科医のネットワークを生かし、医師による診断とAIによる診断を比較し、精度を高めている。

 AIが日本の臨床現場で使用されるには、PMDA(医薬品医療機器総合機構)による審査を通り、厚生労働省による承認を受ける必要がある。Infervision.Japan取締役副社長の郭 (Guo Xiaoxi)さんは、「申請から承認までには1年半程度を要する見込み」と言う。

 しかし、画像診断のAIは日本で急速に求められている。日本放射線科専門医会・医会によれば、日本は対人口比のCT・MRI保有台数が世界で最も多い。にもかかわらず対人口比の放射線科医数はアメリカの4分の1しかない。日本の放射線科医一人当たりの読影(画像診断)件数は世界1位だ。

「医師はみな読影に疲弊しています。それをAIでサポートし、医師がよりよい医療を実現できるようにすることが当社の理念です。しかし、もちろんAIが完全に医療を代替するわけではありません。新型コロナウイルス感染症に関していえば、まずCT画像をAIでスクリーニングし、そこで陽性疑いが出た患者にはPCR検査を行って診断を確定するという流れが、効率性と正確さを兼ね備えた理想の検査法ではないでしょうか」(郭さん)

(文・白石圭)

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