同じ曲でも競技会とアイスショーで衣装を変え、違う印象を残したのは浅田真央だ。現役最後の2016-17シーズンのプログラムは、ショート・フリーで同じ曲『リチュアルダンス』を使うという工夫が凝らされていた。ショートは黒、フリーは赤と色を分けたミニ丈のスカートが印象的だったが、引退を表明してから最初に出演したアイスショー「THE ICE 2017」では、ロングスカートで『リチュアルダンス』を滑っている。

「浅田真央メドレー」の最後となる『リチュアルダンス』が流れ始め、赤いロングスカートの上に黒い布を巻き付けた衣装をまとった浅田が登場すると、直前に滑った高橋大輔がその黒い布を取り去る。全身赤の衣装に変身した浅田は、ロングスカートをひるがえして滑り始める、という演出だった。現役時代からスカートの丈にはこだわりがあったという浅田は、「THE ICE 2017」に臨むにあたり「赤いロングドレスで踊りたいということもあって、どうしても赤(の『リチュアルダンス』)をやりたかったんです」(公式パンフレットより)と語っている。

 浅田は現在出演中の「浅田真央サンクスツアー」でも『リチュアルダンス』を滑っており、暗転の間にリンク上で黒い衣装から赤いロングスカートに早替えをしている。この赤いロングスカートは、現役時代の衣装をアレンジしたものだという。

 新型コロナウイルスの問題が早く終息し、選手がこだわりの衣装で登場するアイスショーを再び見られるようになることを願ってやまない。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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