【刀剣×鴻池朋子】幅20メートル超えの「皮緞帳」(2015年)を切り裂くように振り子が動くインスタレーションと、平安時代から江戸にかけての刀剣の名品が紹介される(撮影/写真部・加藤夏子)
【刀剣×鴻池朋子】幅20メートル超えの「皮緞帳」(2015年)を切り裂くように振り子が動くインスタレーションと、平安時代から江戸にかけての刀剣の名品が紹介される(撮影/写真部・加藤夏子)
この記事の写真をすべて見る

 剣から仏像まで、古典の名作たちと現代の名だたるアーティストたちがコラボする展覧会「古典×現代2020」が国立新美術館で開催される(新型コロナウイルスの感染防止のため開幕時期は未定)。AERA2020年4月20日号から。

【写真特集】「古典×現代2020」を体験しよう!

*  *  *

 巨大な空間を埋め尽くす、接ぎ合わせた動物の皮をキャンバスにした巨大インスタレーション。高さ6メートル、幅24メートルのその作品の合間を通り抜ける振り子を、ガラスケースに入った刀剣の名品が見上げるように横たわっていた。

 美術家・鴻池朋子さん(60)の手になる「皮緞帳(かわどんちょう)」と、平安から江戸時代までに作られた刀剣の名品がコラボした作品だ。

 3月のある日、八つの展示室からなる会場では、ほぼ準備の終わった作品たちが開幕を待っていた。開幕時期は4月7日現在未定。新型コロナウイルスの感染防止のため、開幕が延期されているのだ。

 国立新美術館で開かれる展覧会「古典×現代2020」(以下、「古典×現代」)は、その名の通り、「古典」と「現代」の芸術作品がクロスする展覧会だ。

 鴻池さんのほか、8人の現代美術のアーティストたちと、8種の古典作品がペアを組んで、時間を超えてコラボレーションしている。

 江戸時代の禅僧で絵師の仙がい義梵(せんがいぎぼん)は美術家の菅木志雄さん、同じく江戸の花鳥画は写真家の川内倫子さん。江戸前期の仏師の円空は彫刻家の棚田康司さん、鎌倉時代の仏像は建築家の田根剛さん(40)。浮世絵師の葛飾北斎は漫画家のしりあがり寿さん(62)、画家・尾形光琳の弟でもある江戸時代の陶工で絵師の尾形乾山(おがたけんざん)はファッションデザイナーの皆川明さん(53)、江戸時代の奇想の絵師として知られる曾我蕭白(そがしょうはく)は美術家の横尾忠則さんと、古典側、現代側ともに、当代の人気作家が顔を揃えた。

 このゴージャスなコラボレーションはどのようにして実現したのか。展覧会を企画した、国立新美術館学芸課長の長屋光枝さんはこう話す。

次のページ