4月13日に配信した記事「なぜパチンコ店の行列は『放置』されるのか 政府と国会議員に聞いた」は大きな反響を呼んだ。パチンコ業界に対する政府や国会議員の「不作為」を嘆く声が多かったと同時に、店に通う客へも厳しい意見が多く寄せられた。では、なぜ客たちは感染リスクを背負ってまで、パチンコに行くのか。世間には届いていないだけで、彼らにも「言い分」があるのではないか。東京都と千葉県で利用客を取材した。
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4月15日、東京・台東区の繁華街。人通りはまばらだったが、駅周辺では休業要請が出てもなお、5店舗ほどが営業を続けていた。客が次々と入り口に吸い込まれていくのが見える。
「なぜ、この時期にパチンコに行こうと思ったのでしょうか」
慎重に距離を取りながら、店から出てくる30人ほどの客に声をかけたが、そのほとんどが首を振り、足早に去っていく。やはり「負い目」があるのだろうか。
それから30分後。店舗の入り口から、店内の様子をのぞき込んでいた男性に声をかけるとこう話した。
「やってるかどうか、見に来た。大手は閉まってる店が多いけど、小さなところはまだ開いているからいいね」
同区在住の60代の男性は平日は派遣社員として、渋谷区でマンションの清掃をしているという。普段は仕事帰りに渋谷駅近くのパチスロ店に寄るが、「コロナのせいで、行きつけの店が2軒とも閉まってて。他の店を探してたところ」だったという。
男性の「店探し」によると、渋谷駅のほかに、新宿駅周辺も都の休業要請が効いているのか、閉まっている店が多いという。「この辺だったら、まだ開いてる店は多い」と独自のリサーチ結果を誇る。
感染リスクについて問うと、「俺は5スロ(5円スロット)だけやってる。短い時間だから、大丈夫」と笑みを浮かべる。
この男性いわく、1パチ(1円パチンコ)のように長居して「細く長く」打つタイプのものは感染リスクが高いが、5スロや4パチ(4円パチンコ)のように、「太く短く」打つタイプのものであれば長居せずに済むため、リスクは少ないという。また、「ギャンブル依存症は、1パチに多い」とも口にした。