首相 安倍晋三 (c)朝日新聞社
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AERA 2020年4月27日号より
AERA 2020年4月27日号より
AERA 2020年4月27日号より
AERA 2020年4月27日号より

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、かつてないほどリーダーの手腕が問われている。AERA2020年4月27日号では、日本のリーダーたちについて、東京工業大学の西田亮介准教授が決断力、実行力、情報発信力、責任感、市民の支持の5項目で評価する。

【安倍首相、小池都知事、鈴木道知事…最も評価が高いリーダーは…】

*  *  *

 かねて指摘されていますが安倍晋三首相の記者会見を聞いていると、自分に対して批判的な意見の相手に対し、説得する気が全くないことがよく分かります。記者の批判や想定外の質問に対しては繰り返しの回答が多く、新しい言葉を紡ぐことはほとんどありません。

 それでいて、「民意」の動向はとても気にしている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急経済対策として給付金を出すかが議論になっています。当初、安倍首相は「補償はできない」とかたくなでした。ところがネットなどで「自粛と補償はセット」という声が広がり始めると、一転して「国民1人当たり10万円の現金を一律給付」と言い出す。

 つまり原理原則は乏しく、自身を批判する相手を説得する気もないが、民意の動向には大変注意を払っています。

 リーダーシップという点では、「オリンピック延期」「中国からの入国制限」の決断が遅かったという指摘があります。日本人にとってオリンピックは国民的行事ですから、延期であっても、その判断が慎重になってしまうのは理解できます。中国からの入国制限も同じです。訪日外国人最多で春節を前に国内のインバウンド需要の多くの割合を占める中国人の入国制限の決断は簡単ではありません。

 安倍首相の現在までの対応がベストかといえば「ノー」です。ただし、世界各国と比べてワーストだったとも思いません。ベストでもなくワーストでもない。つまり、「まあ、こんなもの」というのが正直な感想です。

 小池百合子東京都知事は独自の取り組みと、強いメッセージを連発しています。そもそも特措法は、知事に強い権限と裁量を与えています。この法律は地域の実情に応じて、知事を中心とする都道府県対策本部が対策を主導するたてつけです。良くも悪くも地方自治体の長は、強いリーダーシップを発揮するお墨付きを得たことになります。

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