「意外に、日々のルーティンって変えられないんですよね」

 こう話すのは、リモートワーク総合人材サービス「キャスター」の中川祥太さん(33)。企業などの要請を受けて仕事を割り振る事業を行っており、約700人のリモートワーカーが活躍している。電車通勤をやめ、キャスターで在宅勤務を始めたワーカーを見ても、起床時間など日々のルーティンを変える人は少ない。

「浮いた通勤時間を仕事の準備などに使うことで、より生産性をあげようとしているのではないでしょうか」

■夕飯の買い物も朝のうちに

 広告系企業で事務職に就くルイさん(41・仮名)は「準備型」。始業の3時間半前に起き、なんと夕飯の買い物まで朝のうちに済ませている。
夫と2人の子どもの4人家族で、朝6時に起床し、朝食を準備して7時から子どもたちと朝食。8時半に子どもを送り、帰りにスーパーで買い出しをしたあと、9時半から業務を始める。充実した朝時間だ(図2)。

 なお、夕飯の下ごしらえはお昼休憩のときに済ませるという。ONの時間は仕事を、OFFの時間はONの準備をすることで、規定の就業時間である18時にはバシッと仕事を終える。ちなみにルイさん、業務終了後もメールはチェックしているものの、急ぎのもの以外は翌日に回すなど、すでに翌日の準備もはじめている。

 消えた通勤時間を趣味に当てたのは愛さん(35・仮名)。起床は6時半で、始業の2時間半前。新型コロナの対策でリモートワークになったが、起床時間は出社しているときと同じ。簡単なエクササイズを行い、7時から朝食を食べ、掃除と洗濯も朝のうちに済ませる。この段階で8時半。ここから仕事を始めるかと思いきや、しばしの読書タイム。ニュースチェックなども織り交ぜ、朝の時間を情報収集や思索に当てている。30分から1時間ほどゆっくりした時間をとって、仕事を開始する(図3)。

 なお、愛さんもルイさんと同じく、規定の就業時間である18時にバシッと仕事を終わらせている。夕方の通勤時間はランニングや読書、映画鑑賞に当てており、これまた充実した生活だ。朝の余裕が日中の生産性を高め、結果として、
「朝に趣味などのゆっくりした時間をもつことで満足感が得られ、仕事にも集中できています」
 という。

 ビジネス界で「朝活」が流行ったのは数年前のこと。在宅勤務時代においても、朝時間を活かすことが仕事と生活を充実させるカギなのだ。  (カスタム出版部)