
新型コロナウイルスの影響による休校は、保護者や教師を悩ませる大きな問題となっている。日本同様に休校問題に悩むお隣、韓国では、小学校から大学まで順次オンライン授業を開始。しかし、課題も多いようだ。韓国のオンライン授業について取材したAERA 2020年4月27日号の記事を紹介する。
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ソウル近郊の中学校で国語を教える都玉順(トオクスン)さん(42)は「入試を控えている高校生は、1日7時間も、質問もできずに決められた内容をただ視聴するだけの授業を苦痛に感じている」と語る。
韓国は激しい学力競争社会で知られる。小学校高学年ともなれば、午後10時くらいまで学院に通い、学校で教える2~3年先の内容を勉強しているとされる。学院(塾)や自宅での厳しい勉強に疲れ果て、学校では居眠りしている生徒も珍しくない。
今回、新型コロナウイルス問題が発生し、学院の多くは授業を自粛した。マスク着用や生徒と生徒の間隔を空けるなどの措置を取れば、授業を続けることもできるが、我が子の健康を心配する保護者は多く、学院から足が遠のく事態が起きている。
そこで再び問題視されているのが、所得格差が引き起こす教育格差だ。数百万ウォン(数十万円)を出して家庭教師を大勢雇う富裕層も珍しくない。公教育でオンライン授業を行う背景には、「公教育のあり方を見つめ直す機会」(京畿道(キョンギド)でオンライン授業を行う大学教授の一人)という意味も隠されている。