■処女作短編集の出版でも話題に

 一方で、すでに彼女が元アイドルだったことを忘れている人もいるはず。事務所としてもアイドル路線は消したい過去のようだ。
 
「松井さんの活躍の裏には敏腕マネージャーのプロデュース力があると言われており、話題になった短編小説集『カモフラージュ』の執筆を積極的に進めたのもその方だそうです。松井さんの意向を汲みつつ、丁寧に導いてあげているとか。メディアのインタビューでもアイドル時代の話は基本的にNGになっているんですが、それが功を奏したともいえます」(テレビ情報誌の編集者)
  
 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、彼女の女優としての魅力についてこう分析する。

「透き通るような透明感と清潔感、それがまず一番の魅力です。『エール』で演じているおしとやかな長女役はぴったりのハマり役です。演技面ではアイドル活動と並行して主演を務めた『名古屋行き最終列車』(2012~2019年)や、連続ドラマ初主演作である『神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎』(2016年)などのローカル発ドラマで修練を積み重ねてきたことが大きい。中でも『ランドリー茅ヶ崎』は滝藤賢一や岸井ゆきのも出演していた隠れた秀作ドラマです。それらの作品での経験が今、形となって現れてきているのでは。一方で、鉄道・アニメ・漫画・特撮マニアであることを公言し、かつスマートにコメントを述べることができるトークスキルも持っている。一見おとなしそうですが、彼女が隠し持つそんなギャップと多面性が多くの人の心を惹きつけるのでしょう」

 そんな松井玲奈もまだ28歳。30代はどのようなキャリアを積んでいくのか非常に楽しみだが、熱心なファンやスタッフが彼女を支え続ける人がいる限り、今後も成長し続けるだろう。(今市新之助)

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