2020年4月、就任したばかりの明治大、大六野耕作学長もこう諭した。 

「新型コロナウイルス感染症の先行きは未だ不透明で不安に駆られることもあると思いますが、デマやフェイク・ニュースに惑わされることなく、物事の本質をしっかりと見極める力を養いましょう。最後に、アルバート・アインシュタイン博士(Dr. Albert Einstein)の次の言葉を共有したいと思います。“Out of clutter, find simplicity. From discord, find harmony. In the middle of difficulty lies opportunity.”(混乱から単純なものを、不和から調和を探し出そう。困難な状況の中にもこれを乗り越えるチャンスがある。)」(大学ウェブサイト、4月7日)

 一方、大阪市立大の荒川哲男学長は感染者を出さなかったことに誇りを持ちすぎたようだ。

 「本学からは、いまだ一人の感染者も出ていません。これは、本学の学生・教職員の皆さんの意識レベルがいかに高いかを物語るものです。私は、同志として皆さんを誇りに思います。もう一踏ん張り、一緒に戦いましょう!」(大学ウェブサイト、4月13日)

 裏返しに読んでしまうと、感染者を出した大学、学生は「意識レベル」が高くない、ということになる。学長はわが校の感染対策をたたえたかったのだろうが、感染者を出してバッシングされた大学にすれば、気分はいいものではないだろう。数日後にはこう発信している。

「教職員・学生が一丸となって、総合大学としての力を発揮しようではありませんか。今、真っ先にやろうとしていることは、企業や行政の協力も得ながら、医療スタッフの安全を守るための防護資材の制作・検証です。それ以外にも、すべきことは山ほどあります。小さなことでいい。ひとりひとりができることから始めてください。全学一丸となって、この戦いを勝ち抜きましょう!」(同、4月17日)

 医学部出身の学長らしい発想である。

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