安倍晋三首相は5月4日午後、コロナ特措法に基づく緊急事態宣言について、期限の6日から5月末までの25日間の延長を決定する。対象は全都道府県で重点的な対策が必要な「特定警戒都道府県」に変更はなく、13都道府県を維持するという。
しかし、安倍政権のこれまで新型コロナウイルス対策は「アベノマスク」の不評など後手後手に回ってきた。
大阪府の吉村洋文知事は、外出自粛や休業要請について感染者数の推移などを今月15日を目途に見極めた上で、「大阪モデル」として独自の解除基準をつくると宣言。東京都の小池百合子都知事ら含め、地方から「乱」を起こされかねない情勢だ。自民党幹部はこう話す。
「マスコミでも叩かれて、安倍さんはかなりこたえているね。来年の秋に自民党総裁の任期がくるのに、この状況では厳しい。来夏に必ずオリンピックが開催できる保証もない。宿願の憲法改正も、コロナ対応で進みそうもない。というか、今年いっぱいはコロナと経済対策で目いっぱいだろう。安倍さん自身も、引き際を考えているような話が伝わってくるね。最近もコッソリと派閥OBの総理経験者と会って、助言を得たという情報もある。その中身はやはり引き際だったようだ」
長年、安倍官邸を支えた菅義偉官房長官との不協和音も頻繁に報道されるなど、一歩間違えれば、退陣に追い込まれかねないと疑心暗鬼になっているという。
コロナを巡る経済対策でも、党内の若手が公然と一部野党と協調して現金給付や消費減税を求めるなど、「安倍一強」の時代にはなかった光景が見られるようになった。
「長くても安倍政権は来年で終わり」と自民党若手から突き放す声が上がり始めているという。追い打ちをかけるように外出自粛の折、昭恵夫人がマスクなしで神社を参拝した写真が出回り、国会で炎上。
「この大事な時に女房のコントロールもできない。国会で女房を庇ったのも見苦しいと評判を下げた」(自民党中堅議員)
夜の会合ももちろんゼロ。官邸でも孤独感が漂い、ふぅーとため息を一人でついている姿が目撃されているという。