■労働条件の悪化で退職を余儀なくされ、「自己都合」退職になってしまった場合
いままで述べた失業給付の説明は会社が倒産したり解雇されたりした「会社都合」による退職のケースでした。これに対し自分から職を辞する「自己都合」の場合は、会社都合に比べ支給開始が3カ月遅くなったり、支給期間や最大支給額が少なくなったりします。
ただ、現在の経済環境下では、賃金が大幅に少なくなったり、遅配が発生したり、その他労働条件が労働契約締結時に明示されたものと大きく違ってしまい、生活を守るために仕事を辞め新しい仕事を探さざるを得なくなる人も出てくるでしょう。
そんな自分の意思に反して退職を余儀なくされたケースでは、自己都合ではなく会社都合と判断されることがあるので、そのような場合には、失業給付をもらう際に必ずハローワークに相談してください。
■会社やお店が休業してしまったときには、休業手当がある
現在、自治体の要請による企業の休業が多くの業種で行われているのは、毎日の報道だけでなく、街を歩いたときに実感していることでしょう。それ以外でも「業務がほとんどなく開業していても経費がかかるだけ」と判断して自主休業に入る会社やお店もあります。
このような休業は「使用者の責に帰すべき事由による休業」といいます。労働者本人のせいではない休業ということですね。こんな休業の場合は、休業手当が雇用主から支払われます。休業に入る前3カ月の平均賃金の60%以上を支払うことが労働基準法により定められています。
※従来、法定要件である60%の休業手当を支払うことが多かったのですが、現在の状況を踏まえ、小規模事業者については100%の支給になるよう国が雇用調整助成金の補助をする方向で調整が進められています。
なお家族が新型コロナウイルスに感染した、また自分や家族が濃厚接触者で感染の疑いがある場合、会社に自宅待機を命じられれば休業手当が受けられます。本人が感染した場合、業務上の感染が認められれば労災(労働者災害補償保険)による休業補償が受けられます(ただし、医療従事者など明確に感染者との接触が証明できる業務でない限り、なかなか認定は難しいかもしれません)。
労災が受けられない場合でも、健康保険による「傷病手当金」を申請できます。これは自分が加入している健康保険組合などへの申請が必要です。