先行き不透明な時代になりました。生活費ほか、生きるためのお金に困っている人も多いと思います。
そこで、社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」をわかりやすくお伝えする連載を開始。主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話と、受け取る際のポイントをお届けします。
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連載の第1回は、多くの人が不安に思っているであろう「休業」や「失業」についてです。新型コロナウイルスの影響はいまだ、とどまるところを知りません。
現代人にとっては初めての経験であり、先を予測することは非常に難しいですが、急速な好転は難しいと覚悟しておいたほうがいいでしょう。IMF(国際通貨基金)が4月14日に発表した「世界経済見通し」では、今年の日本の経済成長率はマイナス5.2%と予測されています。
もちろんこの数字自体もあくまで発表時のもので、そのとおりに推移するとは限りませんが、「何かあったとき」の備えとして、特に社会保障については基礎的な知識を持っておいたほうが安心です。
■失業や休業時、基本はやはり失業給付と休業手当
ご存知だと思いますが、対象者1人につき10万円給付される特別定額給付金が話題となっています。ただ私は、サラリーマンの場合、失業や休業することになった際に生活を支える基本となるのはやはり、一般的に「失業保険」といわれる失業給付(基本手当)と休業手当だと思います。
失業給付や休業手当は一度きりの支給ではなく、一定の期間、継続的に受け取ることができ、また返済の必要もないからです(図表)。
失業給付は、雇用保険に加入していた人が、求職活動中に受け取れるお金です。雇用保険は、就業者個人が加入するものではなく、働いている会社に加入義務があります。被保険者が所属する会社の業績悪化などによりリストラされたり、会社が倒産したりした場合は給付制限期間なく受け取れるのが良いところで、すぐ生活に役立てることができます。