2020年の大相撲春場所は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、史上初の無観客開催という歴史的な場所となった。しかし、世界中で状況が悪化し、夏場所の日程を2週間延期のうえ、結局、開催中止に。コロナ終息を願いながら、大相撲ファンの皆様に大相撲と鉄道にまつわる記事をお楽しみいただければ幸いだ。
* * *
■両国国技館が“駅チカ”なのにはワケがある!
大相撲の聖地、両国国技館の最寄り駅は、JR総武本線と東京都交通局(都営地下鉄)大江戸線の両国駅。JRの両国駅は国技館に隣接し、西口コンコースには関脇三重ノ海(1975年九州場所。のちに第57代横綱に推挙)、第67代横綱武蔵丸(2002年夏場所)、第69代横綱白鵬(2007年九州場所)の優勝色彩写真額などが飾られており、“相撲の町”という雰囲気を醸し出す。西口駅舎は1929年に改築されたもので、国鉄時代は房総方面列車の始発駅として名を馳せていた。
両国国技館が“駅チカ”なのは、1980年2月頃に公益財団法人日本相撲協会(以下、協会)が国鉄両国駅北側の貨物線跡地の一部(約18,000平方メートル)を買収したことによる。当時、協会は老朽化した蔵前国技館の移転先を両国に絞り、1909年から1945年まで存在した両国国技館の再興に乗り出していたのだ。一方、国鉄も赤字解消の一策として、両国駅操車場跡地(約2.5ヘクタール)の売却に乗り出していた。
さらに協会は蔵前国技館を東京都下水道局に売却。こちらは下水処理場として生まれ変わることになった。それぞれの思惑が一致したのである。
現在の両国国技館は1985年1月9日に落成式が行われ、ほどなく開催の初場所がこけら落としとなった。なお、両国駅操車場跡地の残りは東京都が買収し、1993年3月28日に江戸東京博物館がオープンした。
■五能線沿線は相撲王国
大相撲で特筆すべきことは青森県出身の幕内力士が長年にわたり、途絶えていないことだ。特に平成の大相撲は、五能線沿線出身力士が幕内の土俵を彩った。