東京都の新型コロナウイルスの陽性率は、5月10日時点で「5.9%」。PCR検査人数に占める陽性者の割合を示したもので、直近の7日間(4~10日)分を集計して算出している。
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都が初めて陽性率を公表したのは7日で、同じ算出方法で7.3%だった。この間、保健所から陽性患者111人分の報告漏れや、二重計上が35人分あった。どうにもドタバタ感が拭えないが、果たして陽性率5.9%という数値は、どう評価するべきなのか。
PCR検査を十分に実施している国は、新型コロナウイルスによる死亡率は低い――。千葉大学大学院薬学研究院の樋坂章博教授の研究グループは、こうした解析結果をまとめている。
研究グループは欧米諸国の陽性率を出し、死亡者数との関係について分析。その結果、陽性率が7%を超えると死亡者が増えることがわかった。こちらは、各国・地域とも初めて感染者が確認されてから今日までの累計で算出している。
人口1億人当たりの1日の死亡者数を比較したところ、ギリシャやノルウェーなど陽性率が7%未満の国は、7%以上の国と比べて、死亡者数が5分の1から10分の1にとどまった。
リポートは<7%未満の陽性率を保つことが、死亡者数の抑制に重要と考えられます>と結論付けている。では、日本の陽性率はどうか。5月11日までの累計数を見ると、検査実施人数は21万8204人で、陽性者数は1万5798人。陽性率は7.2%で、わずかだが上回ってしまっている。
東京都をこれまでの累計で見ると、かなり深刻だ。5月10日現在で、同1万3532人のうち、同4868人で36.0%だ。東京都よりも高水準だった米国のニューヨーク州(5月11日現在28.0%)やニュージャージー州(同32.9%)を抜いて、世界トップクラスになる。
分析した樋坂教授は「欧米とアジアの国々とでは感染の広がり方が違うので、直接比較できるかどうかは難しい」と前置きしたうえで、こう話す。