お笑い芸人が活躍するフィールドは、テレビや劇場だけではない。新型コロナウイルス感染防止のため、劇場が閉鎖され、テレビもリモート出演で出演者の数が減った中、新たな活躍の場として注目されているのがYouTube(ユーチューブ)だ。
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YouTubeは知名度だけで人気が出るほど甘い世界ではない。実際、テレビでは引っ張りだこの人気タレントが開設したYouTubeチャンネルでは、動画再生回数が伸びていないケースが多々ある。世間のニーズに合ったコンセプトで面白さ、独創性、意外性を提供できなければ、視聴者の心をつかめないシビアな世界だ。
その中で、「YouTuber(ユーチューバー)」として活躍が注目されているのが小島よしおだ。「一発屋芸人」と自虐的に語るが、全国の小学校が休校措置後に配信を始めたYouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴーチャンネル」で子供たちの心をつかんだ。小学生向けの授業動画なのだが、持ち味の体を張ったわかりやすい説明で、
「子供がくぎ付けでずっと見ている」
「小島さんがこんなにうまく話せる人だと思わなかった。親から見てもすごく分かりやすい」
など大好評。「小1算数『時計のよみかた』」は動画再生回数が50万回を超えた。
「教育系YouTuber」としての地位を確立したのがオリエンタルラジオの中田敦彦だ。昨年2月に登録した「中田敦彦のYouTube大学」の登録者数は237万人。日本史、世界史、政治、経済、文学、芸術、科学、時事ネタと扱うテーマは多岐にわたり、得意の話術で分かりやすい解説に視聴者は引き込まれる。30~40代の年齢層を中心に絶大な支持を集め、
「知識を詰め込む受験勉強と違ってストーリーを教えてくれるから凄(すご)く面白い」
「高校生の子供に教えたらハマっています。親子の会話も増えました」
と評価する声が多い。
スポーツ紙の芸能担当記者はこう分析する。
「世間のテレビ離れが進む中で、お笑い芸人やタレントの主戦場がYouTubeになる日はそう遠くないと思います。テレビでは先輩にかわいがられる『ひな壇芸人』が重宝されてきましたが、これからは変わってくるでしょう。YouTubeの世界では中田敦彦や小島よしおのように頭の回転が速くて1人で局面を打開できる芸人が視聴者に求められる。コンプライアンスが厳しくなっている状況で『教育系YouTuber』の需要はこれから高まると思います」
低予算で投稿できるYouTubeは無名の若手芸人にもチャンスがある。教育系でなくてもいい。成功するのは5%以下と言われる厳しい世界だが、中田敦彦、小島よしおの活躍は大きなヒントになるだろう。(梅宮昌宗)
※週刊朝日オンライン限定記事