原発再稼働問題について、昨年9月には「安全性を厳格にチェックし、地元に説明しながら再稼働させる」と話し、その後も再稼働ありきの姿勢を見せていた野田佳彦首相。ところが、再稼働の担当大臣である枝野幸男経済産業相の発言が揺らぎ、再稼働の行方が不透明になってきた。枝野氏が豹変した理由について、ジャーナリストの田原総一朗氏は次のように話す。
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再稼働の担当大臣である枝野経産相は、4月2日の参院予算委員会で、「地元をはじめ国民の一定の理解が得られなければ再稼働はしない」と答えた上で、「現時点では私も再稼働に反対だ」と明言した。
実は、枝野氏は2月25日にBS朝日で私がやっている番組に登場した際、安全性の確認と地元の理解を前提に「いまの電力需給状態では稼働させていただく必要がある」と話していた。3月5日の衆院予算委員会の分科会でも「安全確認ができたならば、少なくとも当面は原子力を使わせてほしい」と述べていた。
その枝野氏が一転、「再稼働反対」に回ったのだ。なぜ突然立場を変えたのか。
「『地元』という言葉の意味が変わったんです。誰もが大飯原発の『地元』は当然、福井県だと思っていた。ところが京都、滋賀の両知事、そして橋下徹大阪市長までもが『われわれも地元だ』と強く主張しました。そこで枝野さんは『日本全国が地元』と言わざるを得なくなったのです」
※週刊朝日 2012年4月20日号刊朝日 2012年4月20日号

