人気恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた木村花さんが亡くなった。SNS上での誹謗中傷に悩んでいたとされる。「炎上」を「盛り上がり」と捉えてはいけない。AERA 2020年6月8日号では、リアリティーショーがもつ危うさについて取材。その一部を掲載する。
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プロレスラーで人気恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(テラハ)に出演していた木村花さんが5月23日、22歳で亡くなった。自殺と見られる。未明に更新された木村さんのインスタグラムには愛猫と撮った写真にこんな言葉がつづられていた。
<愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。>
24時間で投稿が消えるインスタグラムのストーリーズ機能に残したのは、<さようなら。>の文字だった。異変に気付いた母親や共演者らが木村さんの自宅に駆け付け、亡くなったことがわかった。
プロレス団体に所属し、ヒール(悪役)として活躍する木村さんがテラスハウスに入居したのは昨年9月のこと。華やかなピンクのドレッドヘアと元気の良さで、番組内でも存在感を放った。
だが、今年3月末に「コスチューム事件」が配信されると、視聴者からの木村さんへの風当たりが変化する。さらに、“テラハ史上最悪の修羅場”などとネットニュースなどで取り上げられ、番組ファン以外にも動画は拡散した。木村さんのプロレス用衣装を誤って洗濯し、縮めてしまった入居者との口論のインパクトは大きかった。
アメリカ在住の映画評論家の町山智浩さん(57)は言う。
「木村さんはプロレスラーで、リングの上でヒールという憎まれ役を好演できる人です。台本がないとはいえ、ここぞというときに自分のアドレナリンを上げてショーを盛り上げるエンターテイナーだったのでは」
この配信をきっかけに木村さんのSNSには「死ね」「消えろ」といった誹謗中傷が殺到するようになる。さらに、亡くなる9日前の5月14日には「コスチューム事件 その後」として、木村さんと他の入居者とのコスチューム事件をめぐるやり取りを収めた未公開動画が3本立てでユーチューブにアップされた。
この関連動画の公開に疑問を呈するのは、ABEMA制作の恋愛リアリティーショーでプロデューサーを担当した経験もある、テレビマンユニオンの津田環さん(45)だ。