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「“わがまま”こそが『新たな社会を創り出す原動力』」だと断言するのは、サイボウズ社の社長・青野慶久氏だ。社員の“わがまま”に耳を傾けたことで、リーマンショックの影響で4年間横ばいだった売り上げを、再び伸ばすことができたという。その理由を、サイボウズチームワーク総研著『「わがまま」がチームを強くする。』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・再構成して紹介する。
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■ビジネスモデルの変化を可能にした「社員のわがまま」
社員が“わがまま”をどんどん言える会社では、一人ひとりのアイデアによって、ビジネスモデルの変化までもが勝手につくられていきます。
たとえば、2008年のリーマンショック以降の4年間、サイボウズの売り上げは横ばいで伸び悩んでいました。世界的なビジネスモデルがパッケージソフトウェアをつくってCDで売るというものから、インターネット経由でソフトウェアを提供するクラウドサービスへと移り変わってきた影響を受けていたのです。
多くの会社がその変化についていけずに消えていくなかで、サイボウズはクラウドサービスを開始して、再び売り上げを伸ばすことができました。なぜなら、社内にわがままを言う人がいたからです。
本来の業務とは無関係なのにクラウド技術をずっとウォッチしていた社員が、社長の青野の耳元で、「そろそろクラウドが来ますよ、私にやらせてください」とささやき続けていました。それを受けて、青野はどこでクラウドサービスに舵を切るのかというタイミングを見計らっていたのです。
開発に2年ほどかかりましたが、結果的に、いいタイミングでビジネスモデルを転換できました。青野は当時をこう振り返ります。
「リーマンショック後の売り上げが伸び悩んでいた状況で、大きな投資が必要なクラウドをやらせろというのは、ある意味、空気を読まないわがままです。でも、クラウドをやらせろと平気で言い続ける社員がいてくれた。そのおかげで決断できたのだと思います」