続く99年は民主党副代表の鳩山邦夫氏、元国連事務次長の明石康氏、元外務大臣の柿澤弘治氏、国際政治学者の舛添要一氏、発明家のドクター・中松氏らが出馬。世紀末感が漂う超乱立選挙を制したのは、昭和の大スター、故石原裕次郎を弟に持つ石原慎太郎氏だった。

 75年に美濃部亮吉氏に挑んで惜敗した24年後に捲土重来を果たした石原氏は、その後3回連続で当選。その間、世界的建築家の黒川紀章氏、宮城県知事を3期務めた浅野史郎氏、お笑いタレントから宮崎県知事に転身した東国原英夫氏らが挑み、敗れ去った。

 4期目途中で石原氏が国政復帰のため辞職すると、作家で副知事の猪瀬直樹氏が433万8936票という歴代最多得票で後任に。だが徳洲会グループからの選挙資金提供問題で都議会の厳しい追及を受け、わずか1年で辞任に追い込まれた。それを受けて14年2月に行われた選挙では舛添氏がやはり15年前の雪辱を果たしたものの、政治資金を家族旅行代金に充てたなどの公私混同疑惑が報じられ、2年余りで辞任した。

 そして今回。2期目出馬が確実視されている小池氏が軸になるのは間違いないが、ジャーナリストの青木理氏はこう言う。

「1期目の公約をほとんど実行していないのに小池さんの存在感が高まっているのは、失政続きの首相との比較ゆえ。コロナ対策にしても効果的なことは何もしていない。誰が相手になっても争点のぼやけた選挙になりそうです」

(編集部・大平誠)

AERA 2020年6月8日号

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