大阪大のキャリアセンター。緊急事態宣言以降、寂しく扉が閉まるが、オンラインで学生を支援している(写真:大阪大学提供)
大阪大のキャリアセンター。緊急事態宣言以降、寂しく扉が閉まるが、オンラインで学生を支援している(写真:大阪大学提供)
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 新型コロナウイルス感染拡大は、これまでの就活の常識を変えつつある。企業と学生が会わないリモート元年となった今年、学生たちの企業選びの基準も例外ではない。「コロナの禍の就活」を特集した AERA 2020年6月8日号の記事を紹介。

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 就活には、鉄板ともいうべきセオリーがある。

「足で稼ぐ」

 企業説明会への参加やOB・OG訪問などをできるだけ多くこなすことで、それまで知らなかった業種を理解できるだけでなく、自分自身を見つめ直すきっかけになる。そして「内定」に近づく。

 だが、今年は違った。

 選考の「主戦場」は企業ではなく自宅。学生たちが気にかけるのは、面接会場までのルートや所要時間ではなく、Wi‐Fi環境が安定しているかどうか。着慣れないスーツのしわを気にするより、画面越しでも表情がはっきり明るく見えるか──コロナの感染拡大を受けて発令された緊急事態宣言のビフォーとアフターで、就活生の意識はガラリと変わった。足で稼ぐのではなく、スマホやパソコンなど「指で稼ぐ」スタイルになった。

 化学メーカーを志望する女子学生(21)が言う。

「対面面接を受けたのは3月初めに1度だけ。以降、すべてウェブ面接に切り替わりました。環境を整えなければと有線LANに変えたり、部屋の中で白い壁を探したり。顔に光が当たるようにライトも使っています」

■企業と学生「会わない就活」

 採用活動は一時中断、もしくは説明会や面接をオンラインに切り替えた企業は多い。リモート元年となった今年は、企業と学生が「会わない就活」になった。

 先の女子学生が「数回受けた」というウェブ面接は、こうだ。

 まず、開始10分前にパソコンの前に座り、企業から届いたURLをクリックして、いざ“面接会場”へ入室。短いときは10分、最長で1時間、画面越しの面接担当者に志望動機や自己PRを披露する。初めてのリモート面接だが、タイムラグが生じて面接担当者と声がかぶること以外は、大きなトラブルや不便さは感じていないと話す。むしろ自宅からの移動がない分、お金などの負荷が少なくて済んだ。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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