


家飲みの繰り返しに飽きたという方も多いだろう。だが酒と料理の組み合わせを一考するだけで、非日常感あふれる楽しいひとときを過ごせるのだ。
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日本で流通するビールのほとんどは、ピルスナーというスタイルのもの。喉越しすっきり。どんな料理にも合う万能選手だが、毎晩そればかりでは……。
実はビールには、原料や製法の異なるものがたくさんある。日本ビアジャーナリスト協会の木暮亮さんに、それぞれの特徴とよく合う料理を解説してもらった。
まずは大麦の代わりに小麦を主原料としたビール。
「豊かな泡と白濁した色味が特徴。ハーブやスパイスを使った華やかな香りのものもあります」(木暮さん。以下同)。女性から人気が高いベルギー産のヒューガルデンホワイト、国産の銀河高原ビール、水曜日のネコなどがこれにあたる。
「白身魚の天麩羅、ホタテ・イカなどの海鮮グリル、柑橘類をのせたサラダによく合います。タルタルソースとも合うので、フィレオフィッシュのような魚介系バーガーにも」
続いてインディア・ペール・エール(IPA)。大航海時代にイギリスからインドに運ぶにあたり、腐らないように大量のホップを加えた製法を踏襲する。
「強い苦味と華やかな香りを持っています。ステーキ、ハンバーガーといった肉料理はもちろん、醤油・味噌とも相性が良いので、肉じゃがやもつ煮込みとも。脂の甘味とIPAの苦味がうまく合うと思います」
最後にスタウト&ポーター。共にクリーミーな泡と焙煎香のする黒ビールで、
「焦げた苦味の中に、甘味と酸味が感じられます」
スタウトの代表格はギネス。国産ポーターには東京ブラックがある。
「ビーフシチュー、豚の角煮、タレ味の焼き鳥にピッタリです。また甘い物にも合い、チョコレート、バニラアイスとの組み合わせは鉄板です。ぜひとも試してみてください。和菓子なら焦げ目のある饅頭、みたらし団子が良いでしょう」
騙されたと思って、ギネスにバニラアイスを浮かべるフロートに挑戦。苦味の強い泡とはイマイチだが、ビールそのものとアイスは不思議なほど合った。
次いで妻と一緒にみたらし団子をつまみながら、ギネスを。!?!!! どんどん口中での調和が高まっていく。このミスマッチはいける。枯れた2人の間に、新たなる挑戦への意欲と勇気が湧いてきた(ように思う)。
続いてワイン。「マリアージュ」という言葉がある。料理とワインとの幸せな結婚を意味するものだ。
組み合わせが重要だけにハードルが高いと尻ごみしがち。だがメルシャン株式会社営業部の加藤綾子さんが、日頃食卓に上がる料理との結婚相手を、産地とブドウ品種から教えてくれた。