テレビ番組「テラスハウス」に出演中の女子プロレスラー・木村花さん(享年22)が5月末に亡くなったことで、匿名によるSNS上での誹謗中傷はあらためて問題視されている。被害者側ができる、ほぼ唯一の手段は「発信者情報開示請求」だが、「慣れれば自分でもできる」という。夜景写真家・岩崎拓哉さんは、インターネット上で公開した自分の夜景写真を頻繁に無断使用されていたため、「発信者情報開示請求」を武器に立ち上がった一人。そこから見える発信者情報開示請求の利点と課題は――。
美しい夜景を撮影するために腕を磨き、独自のノウハウを身に着けていった岩崎さん。夜景写真の撮影は時間帯や季節、天候などに大きく左右されるため、そう簡単に撮れるものではない。岩崎さんは多くの人に作品を見てもらうために、自分のサイトやツイッターで夜景写真を紹介していたが、苦労して撮影した作品の数々を、キュレーションサイトなどで「夜景まとめ」として無断で使用されていることを知った時は、大きなショックを受けたという。
検索サイトの画像検索で「長崎 夜景」などと検索すれば、いとも簡単に美しい夜景写真を見つけることができる。しかし、これらの写真には、撮影者などの著作権者が存在しており、「ネットで拾った」などと勝手に使えるものではない。一部の例外を除いて、著作権者に無断で使えば、それは著作権侵害となる。そして多くの場合、無断で使用する人は匿名だ。
よく、ネット上で見つけた写真を自分のサイトやブログに使ったり、SNSで投稿したりする時に、「引用」「出典」などと記して、引用元のURLや撮影者の名前が入っていることがあるが、これらを表記しただけでは無断使用の免罪符にはならない。立派な著作権侵害だ。
無断使用しているのがキュレーションサイトや掲示板などの各種サイトやブログの場合はその運営者、SNSアカウントの場合はアカウントの持ち主に連絡を取ることになるが、匿名であることがほとんどだ。問い合わせ先として記されたメールアドレスやSNSアカウントにメッセージを送っても、相手は無断使用しているのだから無視されることが多い。ネット上の誹謗中傷と同じく、相手が匿名であるがゆえに被害者は泣き寝入りをしなくてはいけないのか?