6月1日に産経新聞が報じた世論調査でも、安倍内閣の支持率は36・4%、不支持率は52・5%であった。
これは一体どういうことなのか。
新型コロナウイルスで、国内の感染者は1万6986人(6月3日現在)、死者は900人と、ヨーロッパ各国や米国に比べて非常に少なく、WHOのテドロス事務局長が「日本の新型コロナ対策は成功している」と表明したことで、おそらく少なからぬ日本人が、安倍内閣に対する評価を変えたのではないか。
だが、私は安倍内閣の新型コロナ対策が成功したとは全く思えない。
まず、新型コロナに対する政府の緊急事態宣言は、ヨーロッパ各国、米国に比べて1カ月近く遅れた。そして、他の国々は、いずれも緊急事態に対する違反行為については、厳しい罰則規定が設けられたが、日本の場合は罰則規定がなく、あくまで政府の要請でしかなかった。
しかも、新型コロナ対策の最も基本であるPCR検査数が非常に少なかった。3月までは、韓国の50分の1、ドイツの17分の1でしかなかった。厚生労働省の認可がないと、どの医療機関での検査もできなかったのである。しかも、政府の経済対策はコロコロ変わった。それなのに、なぜ感染者数や死者数が少なかったのかは、世界中が“謎中の謎”としている。
日本人は素直すぎる、というよりも、野党が弱すぎて、自民党の議員たちが安倍首相のイエスマンばかりなので、国民の多くが、安倍首相であきらめざるを得ない、と感じているのではないか。
※週刊朝日 2020年6月19日号