アグネス・チョウ/1996年生まれ。2014年の民主化デモ「雨傘運動」では「女神」と呼ばれた。香港衆志常務委員。昨年のデモでは香港当局に拘束された (c)朝日新聞社
アグネス・チョウ/1996年生まれ。2014年の民主化デモ「雨傘運動」では「女神」と呼ばれた。香港衆志常務委員。昨年のデモでは香港当局に拘束された (c)朝日新聞社
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 中国が採択した「国家安全法制」によって、香港の「一国二制度」と「自由」はいま、存亡の危機に立たされている。民主化デモ「雨傘運動」で「女神」と呼ばれたリーダー・周庭さんの胸の内は。AERA 2020年6月15日号が聞いた。

*  *  *

──抗議運動に参加してきた人の中にも「移住」を検討する人が増えつつあります。

香港版・国安法の発表を受けてたくさんの香港人が移民を考え始めたのは確かですが、それは同法に対する恐怖感が半端ないという証しです。同法が施行されれば一国二制度は完全に消えるし、政府に反対する自由や真実を語る自由さえ奪われます。デモや集会を禁じられるだけではなく、FacebookやツイッターなどのSNS、そしてGoogleもこれから使えなくなるかもしれません。自由な香港を完全に失うことになります。それも徐々にではなく一気にです。

──今後、香港市民にどんな運動、抵抗を呼びかけようと考えていますか。

 これはもう最後の闘いになります。香港がなくなるかもしれないのだから、本当に命を懸けて闘わなくてはならない。ほかに選択肢はありません。ここで闘うのをやめれば、自分たちの“家”を奪われ失うことになります。だからやるしかありません。ただし、私たちがそれを呼びかけてではなく、これまでのように香港市民が自発的に立ち上がることを望んでいます。

──日本政府、日本国民に何をしてほしいですか?

今回、山尾志桜里衆院議員らが呼びかけた「中国政府による香港への国家安全法の一方的な導入に反対する共同声明」に署名した議員が100人を超え、しかも与野党両方の議員が署名していることに驚いています。今まで日本ではこういう動きは起きませんでした。私たち香港人を励ます取り組みです。日本のみなさんにも香港の動きに関心を寄せてほしいです。

(ジャーナリスト・今井一)

AERA 2020年6月15日号