共通するのが、政府と長年癒着する「昭和な」大企業を頼り続ける構造だ。富士通、電通、パソナなどの名前は見えるが、グーグル、セールスフォースなどの名前は出てこない。持続化給付金では、入札に参加したデロイトトーマツのほうが評価が高かったのに、なぜか電通系団体に落札させた。
行政手続きだけではない。オンライン授業でも、遠隔診療でも、日本は先進国とは思えない遅れを露呈した。
元々、日本のIT化の遅れは深刻だ。スイスの国際経営開発研究所(IMD)による2019年の日本のデジタル競争力は対象63カ国中23位。2位シンガポール、8位香港、10位韓国、13位台湾はもちろん22位中国にも負ける。日本のはるか先を行く欧米アジア諸国は、コロナを機に、内外の最先端企業とのコラボで、行政、医療、教育分野で新機軸を打ち出し、ポストコロナ社会に向けて飛躍の芽を育てている。
一方、日本の「昭和な」政治家と官僚はいまだに「日の丸信仰」で、電通、パソナなどとの癒着構造維持に汲々としている有り様だ。
現在の日本の統治機構は完全に時代の流れから取り残された。これを放置すれば、コロナ後の世界で日本の没落は一段と加速し、しかも格差拡大で社会は分断される。それは、やがて国家崩壊という悲劇につながるのではないか。
※週刊朝日 2020年6月26日号