新型コロナウイルスの影響により、株式会社リクルートスタッフィングの派遣スタッフのテレワーク率が急上昇しているという。AERA 2020年6月22日号では、ポストコロナの派遣社員の働き方について調査した。
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テレワークの定着を派遣社員が先導する可能性もある。
都内のIT関連会社で派遣社員として働く女性(31)は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う会社の対処方針を受け、3月下旬にテレワークに移行した。
通勤電車から解放され、好きな家事に充てる時間が増えた。仕事の効率も上がった。会社は6月に入って原則テレワーク解除を決めたが、女性は感染リスクへの不安もあり継続を希望。社の承諾を得て、在宅勤務を続けている。女性は平然と言う。
「これからはテレワークが可能なことが、派遣先を選ぶ必須条件になると思います」
リクルート傘下の人材派遣会社「リクルートスタッフィング」「スタッフサービス」の2社で就業している派遣スタッフのうち、テレワーク勤務者は5月末時点で約3万5千人。新型コロナ感染拡大前の1月末の100人前後から急増した。
「アフターコロナの働き方を先取りしそうなのが、『出勤オフ派遣』です」
こう話すのはリクルートスタッフィングのスマートワーク推進室の平田朗子室長だ。同社が提唱する「出勤オフ派遣」は、週3日はオフィス、週2日は在宅といった形で在宅ワークと派遣先での勤務を柔軟に組み合わせる派遣社員の働き方だ。
同社は首都圏のオフィスワークを中心に人材を派遣している。このうち、都内23区の就業者の約6割が感染拡大を機にテレワークに移行した。この流れは不可逆的と見る平田さんが指摘するのは、働く側のニーズと業務の特性だ。
そもそも「派遣」という働き方を選ぶ大きな理由として、「勤務時間や勤務地などの条件を選べる」ことが挙げられる。病気や育児、介護など制約を抱える人も少なくない。このため在宅勤務を求める声は根強かった。さらに、職務が明確な「ジョブ型雇用」の派遣社員は個別に業務を切り出しやすく、もともとテレワーク向きなのだ。