検事が手にしていたのは、河井夫妻から押収した「ばらまきリスト」だ。

「渡した相手の名前や金額らしい数字、日時などが記載されていた。克行氏がデータで管理していたもの。それを押収できたことが捜査の進展につながった」(捜査関係者)

 また案里氏から白い封筒を渡されそうになった地方議員Cさんもこう証言する。

「4月だったか、案里氏に食事に誘われた。会計の時に払おうとしたら、すでに済ませていたので『こっちも出す』と言うと『今日は大丈夫です』といい、案里氏が白い封筒を差し出した。参院選に出るんだから、直感的にカネだと思った。それは受け取れんと押し問答が続き、なんとか引き下がってもらった。検察に事情聴取され『案里からもらっただろう』とかなりしつこくきかれましたよ。貰わずに助かった」

 河井夫妻の逮捕で大きく展開した公職選挙法違反事件。夫妻は昨日、自民党を離党したが、時すでに遅し。安倍政権に大きな打撃となっている。自民党の幹部がこういう。

「新型コロナ対策で後れをとり、支持率が急降下。そこに河井容疑者夫妻の事件。想定はしていたが、思った以上に世論の反発がきつい。東京都知事選挙もはじまった。今週末の世論調査で数字が急落するようだと安倍政権は危うくなる。そうなれば、小池都知事の選挙も安泰とはいかなくなるかもしれない」
 安倍政権の落日が始まったようだ。(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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