現職の都議、国会議員からこうした意見が出ていることについて、キッズラインは文書でこう回答した。

「今回の事件に関する様々なご意見については真摯に受け止め、今回の事件を受けて把握した改善点について、安全対策を実施してまいります。なお、東京都ベビーシッター事業における認定事業者の適否は東京都が判断し、内閣府の割引券承認事業主の適否は内閣府から委託を受けた全国保育サービス協会が判断すると理解しております。また、今回の二つの事件に関する経緯について、東京都および内閣府に報告を行っております」

 リスクマネジメントに詳しい駒澤大学の山口浩教授(経営学)は、「事件が起きたからすぐに助成をカットすべきだとはいえない」としつつ、次のように話す。

「実際に事件が起きてしまった以上、政府は企業に説明を求めるなど、実態の把握に努めるのが筋でしょう。私が最も問題視しているのは、企業側の説明不足です。企業が十分に説明しないなら、政府の側から説明を求めるという流れがあってしかるべきです。今の状況は事後報告になっていて、どう見ても隠しているようにしか見えない。子どもを預かるシッター事業は非常にデリケートな分野で、その対応を見誤れば、企業としての体質を疑問視されるのは当然です。今回の事件はサービスの本質にかかわる部分で、電力会社でいえば原発事故のようなものです。本来であれば、社長が出て会見をしたり、調査結果を報告するなど、企業としての責任を果たすべきです」

 利用者にとって、行政からの助成金は企業への「お墨付き」にもなりかねない。都や国は助成金のあり方をもう一度考え直す必要があるのではないか。(AERAdot.編集部/飯塚大和)