「今回はマッチング事業で起きた事件なので、都としては別の事業とみなしている。また、警察による事実確認中と聞いているので、現時点で判断はできない」(都の担当者)
だが、上田氏は「たとえ別事業であっても、認定の取り消しが妥当だ」と主張する。たとえば土木・建築業の場合、都の委託する事業とは別の事業であっても、同じ会社で問題が起きた場合は一定期間、入札中止の措置がとられるからだ。
「シッターが2人もわいせつ事件で逮捕されたと知ったら、保護者の多くは、その会社に安心して子どもを預けられないはずです。そういう企業を都が認定事業者とするのは、都が安全を保障しているかのような誤解につながりかねません」(上田氏)
一連の事件が表に出る前からキッズラインに注目し、都議会で質問していた議員もいる。2019年11月、自民党の清水こうじ都議がベビーシッター利用支援事業における総契約者数を調べると、全254件のうち、マッチングアプリを扱う2つの事業者(キッズラインとポピンズ)の契約が占める件数は166件と、全体の65%以上を占めていることがわかった。
「同事業は、18年度は約50億の予算に対して決算額は約4100万円。執行率は0.8%に過ぎませんでした。執行率が低かった場合、翌年は控えめな予算を付けるのが通例です。19年度は福祉保健局の仮予算の要求段階では6億円と抑えられていたのですが、知事査定を経た際に、50億円と8倍以上に跳ね上がった。なぜなのか疑問がわきました」
前出の2社は、小池知事が塾長を務めていた「希望の塾」が開塾した2016年10月に保育所や託児所の運営を担っていた。事実、キッズラインのホームページにも同年10月30日付けで「【第1回小池塾レポート】応募4000人超!目玉の託児所運営はキッズライン」との記事が掲載されている。
この2つの事業者と小池都知事との関係性に疑問を持った清水氏は、昨年11月の都議会で小池知事にこう質問した。
清水氏「株式会社ポピンズと株式会社キッズラインという会社は知っているか」
小池都知事「ベビーシッターの利用支援事業においては15の事業者が関係をしており、全て把握をしている」「しかるべき正しい選定過程を経て15事業者が決定をしている」